F-connectパートナーインタビューVol.1【東洋美術印刷株式会社】〜変わりゆく時代の中で 変わらないものと変えていくもの〜
F-connectの活動は多くの人に支えられている。
さまざまな形でつながっているパートナーのみなさんに、F-connect代表理事を務める小池純輝がインタビューする。
第1回は東洋美術印刷株式会社の山本久喜代表取締役社長。
1935年に設立された伝統ある印刷会社が次の時代に見据えるものとは。
右:東洋美術印刷株式会社 代表取締役社長 山本久喜 様
インタビュー=小池純輝(F-connect代表理事)
フォト=樋宮純一(ディパーチャー)
文=渡邉知晃(ウニベルサーレ)
F-connectとの出会い
小池 山本社長、今回は貴重なお時間をありがとうございます。まずは東洋美術印刷様のご紹介をお願いします。
山本 当社は、実は歴史が古く1935年創業で、今年87年目となります。美術印刷というところから始まり、印刷一筋でやって来ました。ただ、昨今は紙以外の情報手段も多くなってきているので、紙にこだわる部分と、動画作成などの紙にこだわらない部分であるコミュニケーションサポート事業にも力を入れています。会社の規模としては、90名くらいの社員がいます。工場がある埼玉県ふじみ野市と、本社がある東京の飯田橋の2拠点でやっています。スポーツ関連では、サッカーの横浜FCさんのスポンサーを15年させていただいています。それ以外にもバスケットやラグビーなど、いろいろなところでサポートさせていただいている、そんな会社です。
小池 F-connectを知ったきっかけを教えてください。
山本 横浜FCに所属していた頃からの縁で、特に親しくして頂いている現大分トリニータの野村選手から、F-connectさんが小池代表を中心に、すごく良い活動をされているという話を聞きました。実は小池さんとは誕生日が5月11日で一緒なんですよ。なにか縁を感じました。
小池 そこからパートナーになっていただけました。
山本 我々もそれほど大きな会社ではないので、いろいろなことを柔軟にできるという部分がありますので、身の程に合わせた形でのサポートで少しでもお役に立てればなと思っています。
小池 F-connectの活動で共感していただいたことを教えてください。
山本 F-connectさんは、児童養護施設に行かれて子どもたちを元気付けたり、一緒にプレーをしたりという皆さんの持っていらっしゃるサッカーの力というものをうまく活かして、世の中のためになることをされていますよね。また、サッカー選手でありながら社会人として成長していくところをすごく考えていて、人間としても磨いていくというところには共感しています。サッカー選手というのは選手寿命もそんなに長くない中で、その後のことも含めて人材育成もやっているところに非常に好感を持ちました。
小池 東洋美術印刷様は87年という歴史があり、印刷の業界もいろいろと変化していく中で、その時代に合わせていろいろなことにチャレンジされてきていると思いますが、そういう視点を持つ上で意識していることはありますか?
山本 時代の変化は激しいですよね。印刷という部分にだけこだわっていてはダメなので、アンテナをしっかり立てるようにしています。ただ、流行というものがありますので、新しい情報だけを追っていても世の中は変わっていきます。「不易流行」という言葉がありますよね。自分で変えてはいけない、守らなければいけないものと、新しいことと両方意識しながらやることが大事です。業界の中で飛び抜けたスピードでいの一番にやろうではなくて、「半歩先を行こうよ」といつも言っています。ちょっと進んでいきたいということを意識して経営をしています。
小池 F-connectをスタートさせた時は僕と梶川(諒太)の2人だったので、想いの共感も共有もしやすかったのですが、今は新しく入ったメンバーと思いを共有するのが難しかったりします。山本社長は思いを共有するという部分でなにか意識されていることはありますか?
山本 これは非常に大変だし難しいことですが、大事なことだと思っています。ひとりひとりと話をし、私の思っていることを皆に伝えるようにしています。大切にしているのはコミュニケーションを取ることと、発信することです。自分の考えを出来る限りわかりやすく伝え、大事なことは何度も繰り返して言うことですね。
小池 これからのF-connectに期待していることがあれば教えてください。
山本 活動自体が刺激をいただくこともありますし、やはり名前の通り「connect」という「つながる・つなげていく」力っていうのが上手だなと思います。我々はそのネットワークの中に入り込んで、うまくサポートしながら一緒になって輪の中に入っていければいいなと思っています。本当にネットワーク力というのは勉強になりますし刺激にもなるので、そういった部分とスポーツ選手ならではの発想などいろいろと吸収するところがあると思うので、そういう期待はしております。
小池 今後も僕らF-connectと一緒に取り組めることや、ご協力できることがあればぜひやりたいなと思っています。
山本 物販なんかは逆に教えていただきたいと思いますね、開発力とか販売ネットワークとか。あとは、現在活動されているエフファームはぜひ一緒にやらせていただきたいと思います。今後も一緒にできることを増やしていきたいですね。
迎える100周年に向けて
小池 アスリートが現役中にセカンドキャリアを意識して社会とのつながりを作るといった活動について社長はどのように考えられていますか?
山本 非常に大事なことだと思いますし、小池選手のように長く活躍できる選手というのは本当に少ないと思うんですよね。サッカーで得た経験を社会で生かしていく。選手引退後も人生は続くわけですから、その後もいい人生にしていただきたいので、それに向けて選手自らが行動しているのはすごく共感できますし、いいことだと思います。
小池 現役の時はサッカーだけをやっていたほうがいいんじゃないかという意見もある中で、僕はF-connectで活動する中でキャリアハイを達成することができました。
山本 すごくいいことですよね。今流行りの二刀流ですね。両方で結果を出されているのは、誰もができるわけじゃないと思うので素晴らしいと思います。
小池 イメージとしては、僕にとってのサッカーは東洋美術印刷さんにおける印刷業で、すごく大事な柱で、それ以外に新しく世界を広げるという事が、今東洋美術印刷さんがされていることと重なる部分があるように思えます。
山本 当社でも事業の柱は1本では厳しいなと思っています。従業員にも副業を認めていますし、副業をすることによって本業の方にもプラスの影響があればいいなと思っています。会社のことだけをやっていればいいという時代ではなくなってきていますよね。複数の視点があることで人間としても成長し、会社にとってもいい結果が出てくればいいですね。F-connectでそういった事例を作っているのは素晴らしいと思います。
小池 100周年が間近だと思いますが、それに向けて社長が考えられていることを教えてください。
山本 2035年が100周年ということで、間近になってきています。100周年の時にどんな会社になっていたいかということを、「サステナブル2035」というテーマを決めて、社員全員でディスカッションしました。2035年のあるべき姿から現状を見て、今できていないギャップを埋めていく活動を今まさにやっているところです。コロナの影響もあり正念場だと思いますが、100周年をしっかり迎えたいと思います。
小池 今後の会社としての目標を教えてください
山本 世の中はデジタル化が加速し、それに伴ってペーパーレスや、ハンコレスの流れが出てきました。それが生産性を高めるわけで、否定するわけではありません。私たちも新しいことを取り入れてはいますが、私たちのベースには印刷があります。しかし、それだけに頼っていると厳しいということで、デジタルマーケティング推進部というものを作りました。今までは、頼まれたように印刷物をきちんと作っていましたが、それだけではビジネスとして成り立たないなと思いました。良いサービスや良い製品をエンドユーザーであるお客様に伝えていく。目的に沿ってお客様の声に我々がしっかりと応え、その課題を解決できるような会社にならなければいけないと感じています。一方で、やはり紙だからこそ伝えられるものもあると思っていますし、手触りなどの紙が持つ感性や、紙の面白さというのにはとことんこだわっていきたいと思っています。大きな方向としては、マーケティングという分野でお客様の課題解決のお役に立つこと、そして私たちの基盤である印刷、この2つをこだわってやっていきたいと思っています。
■関連リンク
東洋美術印刷株式会社
https://www.toyobijutsu-prt.co.jp/